日本の使命

8.伊弉冊大神様の真実

伊弉冊(いざなみ)大神様は、日本列島を生み出され、自然界を守る神々様もお産みになった、慈愛に満ちた日本の母神様です。

古事記を要約すると、伊弉冊(いざなみ)大神様は次々と神々をお産みになりましたが、その中、火の神をお産みになった時の様子を「伊弉冊(いざなみ)大神様は火の神をお産みになった時、酷い火傷を負われ、病の床に臥された」と伝えています。

「この子を生みますによりて、みほとやかれて病み臥せり」(「古事記」)

そして伊弉冊(いざなみ)大神様は、火傷による死の苦しみを受けながらも、更に神々をお産みになり、最後は、黄泉の国へと旅立たれたとなっています。伊弉冊(いざなみ)大神様は、国造りのために、自らの命をかけ、また自らの命と引き換えにしてでも、日本に生命を吹き込まれたのです。

さらに続く古事記の内容を要約すると、「伊弉諾(いざなぎ)大神様は愛する妻が黄泉の国へ旅立たれたことを大変哀しみ、迎えに行かれた。伊弉冊(いざなみ)大神様は大いに喜ばれながらも、帰る許可を黄泉の神に請う間、自分を探さないで欲しいと告げられた。しかし伊弉諾(いざなぎ)大神様は、待てども待てども戻らない妻を、遂に探しに行かれた。するとそこには、蛆(うじ)が湧いた伊弉冊(いざなみ)大神様が横たわっておられ、その余りのお姿に驚かれた伊弉諾(いざなぎ)大神様は、黄泉の国を離れられた。そして、伊弉諾(いざなぎ)大神様は、黄泉の国の入り口を千引きの岩で塞がれ、伊弉冊(いざなみ)大神様とお別れになった」となっています。

紅葉伊弉冊(いざなみ)大神様を思い描いてみると、美しい日本国土を生み出された神様ですから、日本の美しい風土を象徴するような大変お美しい女神様ではないかと思われます。しかし黄泉の国に旅立たれた後、その姿は豹変し、蛆(うじ)が湧いていたとも記されています。これは何を意味するのでしょうか。それは、子を生み出すことに命を捧げ、苦しみもいとわないほど愛情を注がれたことを思う時、愛する子どもたちと離れてしまった辛さ、悲しさは、死の苦しみ以上であるいうことを伝えているように思われます。母が子を思う時、胸が焼け焦げ、潰れ、心身がむしばまれても案じ続ける、その身もだえするような苦しみを、そのように比喩したのではないでしょうか。

しかも、黄泉から離れていかれる伊弉諾(いざなぎ)大神様を追って行かれた時、伊弉冊(いざなみ)大神様の前に千引きの岩が立ちはだかったと古事記は伝えています。ふるさとへ帰る道が完全に閉ざされてしまい、二度と伊弉諾(いざなぎ)大神様にも子どもたちにも会えない伊弉冊(いざなみ)大神様の絶望感は、うめぎ喘ぐような無念さではなかったでしょうか。

それでも、伊弉冊(いざなみ)大神様は日本の母神様として、胸が張り裂けるほどの思いを持ちながら、日本民族を守り、抱きかかえておられるのです。

お釈迦様が説かれた父母恩重経(ぶもおんじゅうきょう)には、尊い父母の恩が教えられています。その一つに、「為道悪業(いぞうあくごう)の恩」があります。これは、子に代って、地獄に落ちても子の幸せを念じてくださる恩という意味です。また「究竟憐愍(くぎょうれんみん)の恩」があり、これは、父母は我が身に代えて子を守り、死んだ後もお守りくださる恩とあります。

人の親にこれほどの思いがあるのですから、日本という国を生み出して下さった母神様が、どれほど深く尊い愛情をお持ちであるかは容易に推察できることです。

今21世紀、水の運勢が到来し、根源的な辛さ、無念さが解放される時が訪れました。日本国の根源にある無念さは、民族の母神様である伊弉冊(いざなみ)大神様の思いです。そして子孫である私たち日本民族の根源的辛さ、悲しさは、尊い母神様と隔絶されてきたことではないでしょうか。親は子を慈しみ、子は親に感謝する。これが和を成す原点であり、和を切望しながらも和を成すことができない運命を転換するには、伊弉冊(いざなみ)大神様の思いが解放され、親子の絆が回復されるところにあるのです。

水の運勢は、火の運勢がもたらした苦しさ、辛さを解放し、穏やかな和をもたらすものです。この喜びの運勢が巡り来た時にあって、私たち日本民族が何よりも先にしなければならない務めが「伊弉冊(いざなみ)大神様の解怨」を願うことであり、それが子孫として最も正しい道ではないでしょうか。

伊弉冊(いざなみ)大神様は、日本列島と日本民族を生み出して下さった根源の母神様です。日本に住む人で日本国土の恩恵を受けていない人は一人としていません。誰もがその恩恵を受け、生活させて頂いています。

今、日本民族が和の心を取り戻すには、受けている全ての恩を理解し、感謝の思いを捧げることです。日本国の母神様である伊弉冊(いざなみ)大神様に感謝を捧げることは、和の心をよみがえらせ、相生世界を出発する基点となるのです。

伊弉冊(いざなみ)様は、命をかけて日本国の礎を築かれた母神様

5-8ws