人の心が発する邪気は、人間世界を覆う黒雲のようになっています。雲が光をさえぎるように、その黒雲が天地正気(てんちせいき)をさえぎり、人間世界には破壊と不調和のエネルギーが渦巻いているのです。
天地の運行と人間の運命との関係を説いた中国の易学は、人類全体の運命を「人心乱れ、世界は『火の運勢』に支配される」と教えました。
火の運勢を「天地否」の運勢とも表現します。天地否とは、天地が人に応じることができないという意味です。邪気を放つ火の心は、天地正気を受けられないため、人は破壊的な火の力である邪気をエネルギーとして、争いの歴史を綴って来たのです。
人類歴史を見つめる時、まさに人が火の運勢に支配されてきたことが分かります。人は争って優位を求め、財を求め、国力を求め、その結果、今も地球を破壊し続けています。生命を守る大自然を壊し、大地の上で人同士が殺し合い、尊い大地を怨みの血で染めてしまいました。また化石燃料を無謀に燃やして温暖化をもたらし、火薬を使って戦争し、人類は破壊的火の運勢に呑み込まれているのです。
人の心も火の運勢に支配され、どんなに感謝の思いを持とうとしても、プラス思考しようとしても、火の心が影響し、不平、不満、怒りの方向へと向きやすくなっています。
このままでは、火の運勢で人類全体が燃え上がってしまうほど深刻な状況ではないでしょうか。
しかしながら、火の運勢について教えた易学は、人類の未来について、ある一つの希望的な予言も伝えています。
“水の運勢が到来する。水の運勢が訪れる時、火の運勢は大変化し、火と水は調和して、戦いの歴史は終わり、相生の世界が始まる。”
水の運勢が地球を包み、人は水の如き穏やかな心を取り戻し、愛と平和に満ちた世界が地上に現われると、易学は教えているのです。
人心が乱れ、世界は『火の運勢』に支配された
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