誰もが平和を望んでいるのに、戦争は絶えることがありません。戦争とまでいかなくても、親子、夫婦、嫁姑、また、学校、会社、国家、全てに争いの気が蔓延(まんえん)しています。皆、平和を望みながらも戦う。その原因が「邪気」なのです。邪気を発する心は「攻撃的な心」であり、それは燃える「火の心」にたとえられます。火は前進、向上、発展をもたらしますが、使い方一つで破壊を引き起こしてしまうのです。
お釈迦様は「怒りは三毒の一つ」と教えられました。邪気を発する怒りの火は、他を毒しますが、自分の服にも火がついた状態と同じです。怒りは自分の心も毒していき、しまいには病気や災いを引き起こして自分自身を苦しめ、破壊すらもたらしてしまいます。
火の心は「私は絶対間違っていない」「あの人のせいだ」と、自分の価値基準で他を批判します。さらに、火の心は攻撃的ですから、人の悪い面に目が向きやすくなります。また思い通りにならないと不平、不満、怒りが湧き起こり、現状すら受け入れられずに対立してしまう。これも火の心です。
悲しいことに人類歴史は常に戦いが絶えず、人類はこの火の心を連綿と受け継いできてしまいました。また長い歴史において、怨みを持ったまま亡くなった人の念も、火の心としてあらゆるところに染み込んでいます。自殺、他殺、水子、事故死、戦争、また動物たちの辛い思いも念として残り、生きている人の心に生じた種火ほどの微かな火の心をも増幅させ、怒りの炎へと燃え上がらせてしまうのです。
21世紀、地球全体に破壊的な火のエネルギーが渦巻いています。他を思いやる愛が冷え切り、些細なことで怒りが暴発するのは、積もり積もった怨みの念、燃え上がる火のエネルギーが、強く影響しているからです。
攻撃的火の心が、自他を毒する
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